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「DSM-5、聖書ではない」 【時流◆うつ】

第109回日本精神神経学会学術総会では、DSM-5の現地報告があった。
東京医科大の松本ちひろ氏は全体を俯瞰、「DSM-5は共通言語を学ぶツール」と言う。
うつの項目については「死別反応の除外が削除された点が大きい」と解説した。

 第109回日本精神神経学会学術総会の初日である5月23日午後に開かれたメインシンポジウム「ICD-11とDSM-5の最新動向と国際的な診断基準の問題点」で、東京医科大学精神医学の松本ちひろ氏は、米サンフランシスコで発表されたばかりのDSM-5の内容を報告した。福岡国際会議場で最も大きな約1000席のメインホールは精神科医で埋められ、立ち見も出るほどの熱気に満ちた。松本氏は、「DSMの疾病基準は今後も改訂される方向。聖書や教科書と見るよりは、共通言語を学ぶツールを考えると良い」と語った。

 松本ちひろ氏は多数の変更点があることから、「全てを説明しきれない」と前置きしつつ、カテゴリーごとの主な変更点を順に説明していった。

 関心を集める疾病分類は多いが、一つが大うつ病性障害(Major depression disease:MDD)だ。その最も大きな変更として、松本氏が指摘したのは、「死別反応の除外基準の削除」。従来は、死別体験に続く抑うつについては、MDDと診断することはなかったが、これからはMDDと診断可能となる。松本氏は注意点として、「死別体験があって抑うつがある場合を全て診断するわけではない。死別体験があって、抑うつがあるときに、基準を満たす人を診断することになる」と解説した。


 MDDをめぐっては、そのほか小児の疳癪に当たる「Disruptive Mood Dysphoric Disorder」が追加されたことを紹介。従来、双極性障害との関連が指摘されていたが、成長とともにMDDに近くなってくると分かったと説明した。

 松本氏は、そのほかにも、アスペルガー症候群のように無くなる方向となった疾病分類、認知症のように内訳がより再分化されるようになった疾病分類などを挙げて、内容を解説した。

 全体を説明した上で、松本氏は、「DSM-5は不完全、見切り発車などの批判がある。一方で、作成者ら自身が不完全なものであるのを承知している。実際、DSM-5の小委員会の会長であるKupfer氏は『バイオマーカーが確立されない以上、症状に基づく疾病分類が必要』と言い、前版の作成を担ったHyman氏も『飛行中の飛行機を修理するようなもの』と述べている。DSMはバイブルや教科書ではなく、共通言語を学ぶ一つのツールと言うべきだろう。今後の改訂を見据えた改訂と見るといいのだろう」とまとめた。


星良孝(m3.com編集部) 5月23日(木) 配信

| 精神科 | 17:13 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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